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微かな光が差し込む薄暗い空間。風の通りも悪いその場所は、重苦しく淀んだ空気が漂っていた。どことなく不気味で近寄りがたい。そんな雰囲気で、まるで不吉の住み家とでも形容したくなるような、嫌な気配があった。
そんな場所にも関わらず、集まって何か話をする一団の姿。やはりと言うべきか、皆ひどく辛気臭い様子で、その話の内容も深刻なものだった。
「病の正体は判明したか?」
一団の頭領である男が尋ねると、一人が報告する。
「いえ、残念ながら何も掴めていません。様々な対策も試みていますが、それも一切効果をあげていない状況です」
すると、また別の一人も報告をした。
「症状は年齢や性別に関係なく出ています。致死率は百パーセントと見ていいでしょう。被害は拡大する一方です」
「……何ということだ。このままでは全滅するのも時間の問題か……」
頭領である男が絶望に嘆くと、集まっていた他の者たちも次々と悲痛の声をあげた。
「もう終わりだ。伝染病ではどうしようもない」
「いっそのこと、まだ健康な者だけでも移住するというのは……」
「馬鹿な。症状以外は何も分かっていないんだぞ。それにどこへ行けというんだ」
「その通りだ。集落の外でも遺体は発見されている。それに敵性勢力のこともあるだろう……」
もはや為す術なし。どれだけ議論を重ねようとも、彼らには一縷の望みも残されてなどいなかった。
その時、集まっていた内の一人が、突然うめき声をあげながら苦しみ始める。
「おい、大丈夫か。しっかりしろ!」
そんな周囲の声も届かず、苦しげにのたうち回る。
「駄目だ。こうなってしまうと、もうどうすることも……」
「……ああ、恐ろしい。次は私たちの番だ」
周りの者たちは、恐怖に震えながら、その様子をただ見ていることしかできなかった。
あまりに残酷な現実を前に、頭領である男は低い天を仰ぐ。
「これが天命なのか。我々が一体何をしたというのだ……」
恨めしく呟けども、誰も救いの手を差し伸べる者などいない。淀んだ空気は更に不吉さを増すように、その一言を静かにのみ込んでいった。
程なくして、その集落の中で動く者は誰一人いなくなった。避けようのなかった恐ろしい結末。それがまさか、仕掛けられた毒餌によるものであったとは、誰も夢にも思うまい。冷蔵庫や食器棚の陰で、彼ら茶色い羽を持つ一団は、静かに滅びの時を迎えた。
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