9人が本棚に入れています
本棚に追加
少しの間自動制御に任せて、その木の周辺にある空き地の広さを確認する。
よし、大丈夫。
充分にこの家が入りそうな広さだ。
進行方向と逆の方向に、少しだけ火力を吹かし、更に速度を落とす。
そのまま何もせずとも高度が下がっていく。
そろそろだ。
「みんな、何かに掴まって!」
落ちるままに任せて、私も地面に伏せた。
「ブラヴォー!
見事な着地であったぞ」
家の中に上がり込んできた、ノルの拍手の音が耳に刺さる。
「ちょっと静かにしてくれる?
今、ぐったりしたいところなの」
ベッドの弾性が、私の体を受け止めてくれる。
ノルなんかよりよっぽど紳士的だ。
「あ、ああ、すまん。
……今日は一日ここで休んでゆくか。
いい加減子供達も飽き飽きしておるようだし、外で遊ばせてやらねば」
「じゃあ私は放っておいて。
寝てるから」
何故かノルは寂しそうな表情で目を伏せた後、コクリと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!