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早速私は台に被検体を縛り付ける。
今日のは矢鱈に長身だから、結構大変な作業だ。
あまりこの近辺では見ないような顔つきをしている。
痩けた頬、銀色の髪。
少し髪を撫でてみる。
さらさらとこぼれていった。
ここでアクシデントが発生する。
被検体が目を見開いたのだ。
「我輩はノル・ニール・シュテフタッド!
繰り返す。
我が名は、ノル!ニール!シュテフタッド!!
……何故我輩は縛り付けられている?」
驚いた。
声量や、我輩という妙に古めかしい一人称もそうだが、何よりこの段階で意識を取り戻したのは、この奴隷が初めてだ。
マシューが薬を打ち忘れたのだろうか?
さて、どうしよう。
……取り敢えず殺すか。
いつも通り私は、薬剤の入った注射器を筒から取り出す。
でも流石に、起きている人にこれを刺すのは気が引けるな。
「おい、貴様!
とっとと名乗れ。
我輩の格好がつかないだろう。
ところでここはどこだ?
我輩はどうしてこの陰気な女に縛り付けられている!?」
うるさい。
私は迷わずシュテなんとかの服の袖を捲り上げ、針をズブリと突き刺した。
手に返る感触が心地よい。
「お、おい、貴様?
我輩に何をした?
まさか、我輩に性的な悪戯をしようというのではないな!?
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