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「まあ良い、我輩は寛大であるからな。
一時期は世界一殺害予告をされた男としてゲィネス記録にもなった程だ。
このくらいは慣れておる。
ところで、ここは一体どこだ?
我輩は確か、医者をやっていて、んで、患者の血液をちょろまかしていたところを、あの愚か者に見られてしまったのか。
その後の10年……。
ああ、辛く苦しい日々だった。
牢の中、糞のような味のペーストを啜りながら、血に飢え、血を求め、しかしそれは余りにも儚い幻。
時々迷い込んでくるコウモリを吸いながら、苦味に顔を顰める日々、貴様にわかるか!?」
「わかりません」
血液をちょろまかす?
血に飢える?
大体、コウモリを吸うって、一体どういうことなんだろう?
「わからんだろうな、貴様ら人間には……」
ここで私は一つの馬鹿げた仮定に行き着く。
血を求める。
それもコウモリではなく人間の血を。
血を……吸う。
「吸血鬼?」
であるならば、あの薬の影響が出ないのにも納得だ。
当然そんな不老不死の化け物は、御伽噺にしかいないのだけれど。
でも、だったら一体……?
シュテフタッドが顔中に満面の笑みを貼り付ける。
「そうとも!
我こそは高潔にして孤独の吸血鬼、ノル・ニール・シュテフタッド!
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