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30話「写真談義」
「ん……」
梓の手に当たったのは数ある証拠写真の一つだ。例によって、地面に血がたっぷりと流れている様子を映した赤い写真だ。杉村と瑞輝以外の手掛かりは、こんな風に似たり寄ったりである、この写真一枚あれば杉村と瑞輝以外の証拠は充分じゃないかというくらいだ。
「大鎌の方から探すしかないか……」
「大鎌は手掛かりとしては弱いですけどね」
「え、そうなの?」
「大鎌は、よく死神が持っているですが、この場合、死の象徴としての側面が強いと思います。呪いで具現化するのは、呪いの大元の力を持つ存在もそうですけど、死のモチーフもセットで現れることが多いです」
「つまり、大鎌は死って特徴を現したもので、本命は別にあると?」
「あの特徴的な角を見た時から、角は何かの象徴だと思ってたですが……瑞輝さんから大鎌の事を聞いて、ますます確信を持ちました。大鎌が死をモチーフにするなら、それ以外の要素は自ずと呪いの元の特徴と似ることになるです」
「なるほど……確率的にはそれが本命か……」
「まだ完全に確信を持っているわけではないので、完全に意識から外したくはないですが……」
「ということは、やっぱりこの角から探さないといけないわけね」
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