26話「呪いを用いた大量殺人」

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26話「呪いを用いた大量殺人」

「はぁ……」  梓は顔をコタツの上に擦りつけながら、ため息を漏らした。手はコタツの上にだらりと投げ出されていて、巫女服は少しはだけている。 「大丈夫か、梓や」 「丿卜さん……なんだか、気が滅入りますね」  梓が顔をコタツの上に突っ伏したまま、もごもごと喋る。 「うん?」 「うー……」  梓が、コタツの上にずっと突っ伏していた顔を、ようやくゆっくりと起こした。 「連続殺人犯の手によって、ティムちゃんだけじゃなく、杉村さんまで……しかも、瑞輝さんが居なかったら、被害者はもっと増えていた。瑞輝さんが魔法でティムちゃんを守らなければ、今頃はティムちゃんも亡くなっていたかもしれない……」 「ふむぅ……」 「それに、杉村さんの霊……」  あのショッキングな光景は、梓の脳裏にいつまでも焼き付いている。梓が殺人現場の近くに着いた時、梓は今まで以上に異様な雰囲気を、その現場の周囲から感じていた。それは今までとは質の違ったもので、梓はその雰囲気を感じ取った時から慎重に足を進めたのだが……。  その雰囲気の原因は杉村だったのだ。霊となった杉村が、自身が殺害された殺人現場で暴れていた。     
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