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「あ、いいですよ。そんな大げさなことしなくても」
「そう? だいぶ参ってるように見えるから……」
「参ってないっていったら嘘になるですけど、そんなこと、いってられないですから。さ、上がってください」
「うん……無理しなくていいのよ?」
「無理なんてしてないですよ。さ、上がって奥で話すです」
「そう? じゃあ……お邪魔します」
梓は杏香を引き連れて、さっきの部屋に戻った。梓は部屋に入るなり、杏香にコタツの対面を進め、杏香がそこに座ると自分も杏香の対面に座った。
「あ、コタツはついてないのね……って、この暑い時期につけるわけないか」
「そりゃまあ、まだまだ暑いですから」
「そういえば、いつも置いてあるわね。てか、片づけないの? コタツ」
「掘りごたつだから、片づけないですよ。足も延ばせるし、テーブル代わりにいいでしょ?」
「確かにね。さて、本題に入るけど……今回、他とちょっと変わったところがあったの。それがどういう意味を持つのかは、まだ分からないけど」
「変わった箇所はあったけど、証拠としての価値はまだ無いってことですね」
「ええ。証拠というにはちょっと弱いけど……解析次第ね」
「そうなんですか。何があったんです?」
「杉村の手の平なんだけどね」
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