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「杉村さんですか……」
杉村さんの執念が、この事件を解決するための数少ない証拠に繋がった。梓はそう思わずにはいられなかった。
「妙な傷があったの」
杏香がポケットから写真を取り出して、梓に見せた。
「これは……かなり深いです。骨まで達していても不思議じゃないですね」
杉村の手には、深い傷がいくつもあった。
「しかも、かなり鋭利なもので切り裂かれてるです」
まるで鋭いナイフで切り裂かれたような傷だ。
「たまたま怪我しただけでは、こんなに沢山の傷は出来ないでしょうね」
手の平には細くて、深くて、鋭い。そんな傷がいくつも出来ることは、偶然とは考えにくい。
「ええ。だから、例の怪物にやられたのかもって。ただ、それだと他の殺人には無い理由が説明できないわ」
「ええ。そうですね……って、杏香さん、怪物って言い切るんですね」
「最近の新たな情報を見聞きしてね、もう人間の出来る範囲は越えてるかなって」
「だから、怪物ですか」
「容姿もそうらしいしね。そう呼んだ方がしっくりくるのよ」
「そうですか。でも……」
「でも?」
「私の気が滅入ってる原因の一つなんですけどね」
「杉村の事?」
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