26話「呪いを用いた大量殺人」

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「杉村さんですか……」  杉村さんの執念が、この事件を解決するための数少ない証拠に繋がった。梓はそう思わずにはいられなかった。 「妙な傷があったの」  杏香がポケットから写真を取り出して、梓に見せた。 「これは……かなり深いです。骨まで達していても不思議じゃないですね」  杉村の手には、深い傷がいくつもあった。 「しかも、かなり鋭利なもので切り裂かれてるです」  まるで鋭いナイフで切り裂かれたような傷だ。 「たまたま怪我しただけでは、こんなに沢山の傷は出来ないでしょうね」  手の平には細くて、深くて、鋭い。そんな傷がいくつも出来ることは、偶然とは考えにくい。 「ええ。だから、例の怪物にやられたのかもって。ただ、それだと他の殺人には無い理由が説明できないわ」 「ええ。そうですね……って、杏香さん、怪物って言い切るんですね」 「最近の新たな情報を見聞きしてね、もう人間の出来る範囲は越えてるかなって」 「だから、怪物ですか」 「容姿もそうらしいしね。そう呼んだ方がしっくりくるのよ」 「そうですか。でも……」 「でも?」 「私の気が滅入ってる原因の一つなんですけどね」 「杉村の事?」     
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