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27話「呪詛談義」
「なんつーか……どぎついわね」
杏香が顔をしかめる。
「そうですね……あ、お茶、飲みます?」
梓はこの重苦しい空気をどうにか軽くしたいと思い、急須を手に持った。
「頂くわ。私も気を落ち着けたい。このことが勘違いだと祈りたいけど……梓の事だから、何かしら根拠があるんでしょ? なんで人間が仕掛けてると思ったか、話してくれる?」
「はい……私の方でも色々と手掛かりを探してたんですけど、やっぱり一番大きな収穫は妖怪の里だったと思うです」
梓がお茶をつぎながら話を進める。
「ああ、そういえば、その話、まだ詳しく聞いてなかったわね」
「はい。出来るだけ手短にお話しするです」
梓は妖怪の里に入った事、そこで起こった色々な事を、出来るだけ簡潔に杏香に伝えた。
「へぇ、そんな事が……てか、そんな場所が本当にあるのね」
「妖怪は地域ごとに集落を作って、時にそこで暮らし、時に人里に降りてくるんだそうです。今では人間の方が個体数が圧倒的に多いので、ひっそりと暮らしている印象ですけど、昔からそうやって人間と共存してきたみたいですね。で、その集落の長がクレハという妖狐です」
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