27話「呪詛談義」

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「気持ちは分かるわ。呪いだってことは、十中八九、この事件は人間によるもの。人間が誰かを呪わなければ、呪いは発動しないんだから」 「はい。人間が、ルールを満たして発動させるのが呪い……そして、無作為に不特定多数の人を選んで呪い殺しているということは……」 「愉快犯の可能性が、非常に高いわね。なんつーか……思ってたよりも、ずっと気が滅入る話だわ。警察に丸投げできるなら投げちゃいたいわね」 「ええ……でも、呪いの効果によるものとなると……」 「警察は動けない……か……あたし達よねぇ、結局」 「ですよねぇ……」 「でもまあ……警察にも働けるだけ働いてもらいましょう」 「……というと?」 「今まで警察はどうやって殺人を実行したのか、物理面を捜査してきた。犯人はどこからやってきて、どんな凶器を使って、どう殺し、どう逃げたのか……それが分からなければ、捜査範囲を絞ることができなかった。だけど、呪いのせいなら、この捜査は意味を持たない」 「ですね」 「だから犯人像を絞ることを中心に捜査するように切り替える。少なくとも、犯人は呪いに精通していて、殺人が起きた時間帯には自由な時間を過ごせる人物だってことだから。それに加えて殺人現場の位置に、何かの法則性が見出せないかも調べられるわね。呪詛の類だったら、付け入る隙はあるはずだわ」 「呪詛……」     
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