149人が本棚に入れています
本棚に追加
episode217 デザートの時間
「お兄様っ……これはっ……」
何もかも
この人のスピードには追いつけない。
いつだって
僕の予想を超えてくるから。
僕は恥ずかしいところばかり見られて
この人の前ではいつでも大馬鹿の道化でしかない。
「手を下ろせ」
征司の手を振り切って
慌ててシャツの前を押さえたものの。
「お兄様……」
密室で僕を壁際に追い詰めて
「聞こえたろ?手を下ろせ」
鋭い瞳に見下ろされ
低い声で命じられると
「はい……」
まるでパブロフの犬だ。
僕は言うことを聞かざるを得なくなる。
最初のコメントを投稿しよう!