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そして素早く上から七枚目を引く。
……カップのエースの正しい位置か……
理乃は真っ直ぐに推名、そして垂水を見つめながら凛然と答えた。
「器に入った液体。そんな感じで出ています」
落ち着いて堂々と答えながらも、内心では
……とか言って。陰陽の術だかなんだかを使って、そう指摘されたもんで。今この瞬間に元に戻してたりして。でもこう言った陰陽道が魔法みたいな事にされているのって、誇張して伝えられているんじゃないかと思うんだなぁ……
と、自信の無さを誤魔化す為に理屈をこねていた。
ざわつき出す観衆に、困惑した表情の垂水と推名、そして面白そうに目を輝かせる親王。羽矢人は冷静に全体を観察している。
「なるほど! では中身を早速開けて見て確かめてみれば良いではないか!」
親王はそう言って、端の竹桶に両手をかける。垂水が止める間もなく、
「それ、と。石だ。次は、乾燥蓬だ。では、問題の最後は……」
と端から順に中身を確認し始め、最後の竹桶はやや勿体ぶってゆっくりと開けた。
……うわぁ心臓に悪い……
途端にざわつく声。生きた心地のしない理乃。果たしてそこには……
「竹の器に水のような液体! まさにリノの言う通りだな。はて、これはどういう事かな? 確かに私は唐菓子である事を確認して竹桶を伏せた筈だが……」
親王はお道化たような口調で言いながらも、鋭く冷ややかな眼差しで垂水を見据えた。
……あー良かった。なんとか面子を保てた。第一段階はクリアかな……
理乃はホッと胸を撫でおろす。羽矢人は懐から紙と筆を取り出すと、さらさらと何かを書き始めた。
『お見事です、リノ様。それで、どうします? この場で断罪を親王にお願いして解散、という事もできますが……』
羽矢人はそう書いた紙を、そっと理乃に差し出した。
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