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「そ、そんな急には……しかも本来は完全非公開の場……」
「あら! だって沢山の方々が見物にいらしてるじゃありませんか! でも実際は想定内、ですよね?」
「あ、はい、まぁ……」
今ひとつ歯切れの悪い垂水に、楽しそうに会話を交わす理乃。二人の対照的な様子を面白そうに見ていた親王は、納得したように頷くと口を開いた。
「なるほど。では今私が選ぼう。見物人もそな方が楽しめるだらうしな」
そして外に出ようとスタスタと歩き出す。すぐに付き従う羽矢人に、やや遅れて親王の後を追う垂水。
その後ろ姿を見送りながら、椎名は苛立ちながらも違和感を覚える。
(おかしい。この場は全てこちらが有利になるよう術を施してあるのだ。あちらが少々抵抗しても流れは大きく変わらない筈。おかしい。まるでこちらの手の内を読んでいる者がいるかのようだ。あの小娘にそこまでの力はない筈だが……)
心を落ち着かせながら、考え込む。
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