第四十二話 占合②

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 親王に指名された見物人は全部で六名。勿論、宮中の女房たちである。非公開、立ち入り禁止とされている場に忍び込んで来た訳だから、親王に指名され「咎める立てしないかわりに」と言われては断る訳にもいかない。今更のようであるが、扇で顔を隠しながらしずしずと会場に登場する。 「三名ずつ吾が適当に振り分けよう。勝敗は、予めどんな内容を相談するのかを事前に紙に書いておく。卜い後にその満足度を書く。これで如何かな?」  親王は椎名と理乃に問いかけた。 「私はそれで大丈夫です。何の問題もございません」 (対面占いの基本スタイルよね)  理乃は即座にこたえた。 「勿論、こちらも親王の仰せのままに」 (あの小娘の良いように事が運ぶのが癪にさわるわい)  椎名は作り笑いを浮かべた。垂水は親王の言う通りにする為、紙と筆を六名分用意し、机の上に並べる。女房たちがそれぞれ位置につくと、数名の陰陽師達が簾を運んできて親王、女房たち、垂水を簾で多い隠す。万が一、書いているものの推測を避ける為であろう。 ……凄いなぁ。奇跡中の奇跡だわ。平安時代の陰陽師と占い大会なんて。陰陽道とタロットの組み合わせなんてまさにアンビリバボー、なんてね。タイムスリップ便利グッズで言葉も通じ合えるし。別に渡が大活躍する訳じゃないけど、「チートの力」と言っても良いんじゃないかしら……  理乃はかつてない程にワクワクしていた。羽矢人は、そんな理乃を目を細めて見つめていた。
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