第四十三話 占合③

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 マルセイユ版大アルカナを一枚引く。示したカ-ドは『世界』。 (あら、いきなりゴ-ルか。つまり、今は辛くてその経験が役立った、なんて思えないけどいつか『それは必要な体験だった』と思える日が来る……て事だけどこれだと唐突過ぎだから、と)  残りのタロットを裏返したままシャッフルし、上から7枚目を引いた。それを表に返す。 (隠者か。内省、今は一人で考えるべき時……)     次に、ウェイト版タロット78枚を素早くシャッフル。いつもの手順で三枚を引き、左から横に並べていく。  その結果示されたのは『ソ-ドキング・正位置』『ソ-ドペイジ・逆位置』『女教皇・正位置』であった。 (……なるほど。正直言うと、お悩みの詳細を知りたいところではあるけど。鑑定結果をそのまま伝えて判断は相手に委ねる、て感じになるわね)  不安そうにカ-ドを見つめる女房に笑いかけた。 「では、タロットが伝えてきたアドバイスをお伝えしますね」 「は、はい」 「お悩みの原因は、決定権のある方に一方的に決められてしまった事。逆らっても決まった事を覆す事は出来ない。けれども気持ちは割り切れず、モヤモヤは募るばかり……。恐らくそんな感じではないでしょうか?」  驚いた様子で目を見開く女房。 「はい、その通りです!」  その答えに、理乃は鑑定結果の意味が符合した。ニッコリと余裕の笑みを浮かべ女房を見つめる。
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