第四十三話 占合③

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「では、助言を申し上げますね!」 「はい、お願いします」  女房は不安ながらも、覚悟を決めたように頷いた。 「どんなに頑張ってもご自身の力ではどうにもならない。無力感や虚しさ、また理不尽さを感じてしまう。そう感じてしまうのは当然ですし、また無理に気持ちを切り替える必要もありません。今は一人で内省して良い時です。やがて時が経ち、いつの日か必ず『あの時悩んで傷ついた事は無駄じゃなかったんだ!』と思える時が必ず来ます」  女房の瞳が潤んでいる。 「今は辛くても、必ずこの時の経験が活かせる時が来ますから」  と理乃は力強く付け加えた。 (……さぁ、タロットの示した結果をそのまま通訳したわ。後は、彼女がどう感じ取るかは委ねるしかないわね)  女房は右の袖で目元を拭っている。 「有難うございます。では、今は色々考え込んだり過去を悔やんだりしても良いのですね」 「はい!」 「いつか、この経験が役立つ日が来ると……」 「はい、そう出ていますよ」  女房は再度右袖で涙を拭うと微笑んで見せた。 「有難うございます。なんだか気持ちが楽になりました」  と頭を下げた。 「良かったです。応援しています」 「凄く当たるんですね、驚きました。有難うございます」  女房の足取りが軽やかになったのを見て、理乃は安堵した。 (良かった-。あれだけしか情報がないと結果を伝えるのも不安だけど、逆に私の主観が入らない方が良いのよね。……さて、次だわ!)  理乃は気合を入れ直した。
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