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「400㎏? メスゴリラ級だな」
襲われたにもかかわらず、彼はまた無防備にも夢亞に背を向けてチャーシューを取り出す。質問に答える気はないらしい。
「思えばあなたの飼っていらっしゃる黒ネコさんも魔の気がダダ漏れでした。そのご主人様も当然なにかしらの……」
「うるせえな。塩と味噌、どっちにするんだよ」
「ですから、わたくしの飢えはラーメンでは救えないのです。血をください」
「やなこった」
乱暴に冷蔵庫の扉を閉め、振り返った彼は夢亞を見てズアッと後ずさった。
「な……なんだその顔!? お前、血に飢えるといきなりそうなるのか?」
まるで骸骨が皮を被っているように頬はこけ、目は落ち窪み、肌は藁半紙のように土気色でガサガサ。さっきまでの可愛らしい少女の面影はどこにも見当たらない。
「そういう体質なのです~。このままでは数日ともたずに干からびて死んでしまいます。ですからどうか血を~……」
400㎏の握力を誇る両手が亡霊の如く彼に近づいて行く。
「さっき舐める程度あなたの血を頂きましたが、超絶美味です~。AAA5ランクです~。見た目からして、味に期待は持てないと思ったのに」
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