【ep:1】月よりひそかに

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「そんなになっても口は減らないな。もういい出ていけ。ここじゃないどこかで野たれ死んでくれ」  迫りくる夢亞の両手を彼はまとめて(ひね)り、そのまま回れ右をさせて玄関の方へと押し出した。  その時──。 『おやぁ? みんな見てごらんよ。まーたセンリが変な新入り、拾ってきちまってる』 『ハアン? ……でもオイラたちとはまた違うぞ、キッチリ身体がある。人間じゃないのか?』 『ハッ!? こりゃあアレじゃ! いわゆるひとつの……センリがオナゴを連れ込んだんじゃーー!』 『おおおおおーーーーっ!?』 「バ……ッ、馬鹿言ってんな! つか出てくんなテメェら!」  それらは彼の背後から浮かび上がっていた。老若男女、洋装和装、様々な時代を思わせるいで立ちの霊が……山盛りに。 「まあ……この方々は一体?」  振り向いた夢亞に、霊たちが一斉にすくみ上る。 『女学生のコスプレした婆さん……?』 『いや、ミイラに悪霊でも宿ってるんじゃないか? 女日照りが長いからって、こんなのを連れ込むなんて……』 『よっぽどだったんだね……そうだよ、センリだってオスだもの。さあさ、ワタシらは見なかった事にして引っ込もう』 『うむ。武士の情けじゃ……』
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