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「そんなになっても口は減らないな。もういい出ていけ。ここじゃないどこかで野たれ死んでくれ」
迫りくる夢亞の両手を彼はまとめて捻り、そのまま回れ右をさせて玄関の方へと押し出した。
その時──。
『おやぁ? みんな見てごらんよ。まーたセンリが変な新入り、拾ってきちまってる』
『ハアン? ……でもオイラたちとはまた違うぞ、キッチリ身体がある。人間じゃないのか?』
『ハッ!? こりゃあアレじゃ! いわゆるひとつの……センリがオナゴを連れ込んだんじゃーー!』
『おおおおおーーーーっ!?』
「バ……ッ、馬鹿言ってんな! つか出てくんなテメェら!」
それらは彼の背後から浮かび上がっていた。老若男女、洋装和装、様々な時代を思わせるいで立ちの霊が……山盛りに。
「まあ……この方々は一体?」
振り向いた夢亞に、霊たちが一斉にすくみ上る。
『女学生のコスプレした婆さん……?』
『いや、ミイラに悪霊でも宿ってるんじゃないか? 女日照りが長いからって、こんなのを連れ込むなんて……』
『よっぽどだったんだね……そうだよ、センリだってオスだもの。さあさ、ワタシらは見なかった事にして引っ込もう』
『うむ。武士の情けじゃ……』
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