episode 1 ローズガーデン…薔薇の庭園に住む美しき主人

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末恐ろしい甥…それはサウス・ガーデンを追われ逃亡してる最中でもこんな事を考えたルリアンに対する見解の総意があったからであった。 ☆ 「それでは…」 「道中お気をつけて」 諜報作戦に向かう3人と行商人のリーダーナジフをローズガーデンから見送るレムは庭に咲く赤い薔薇を手に取り口元に持って来てその香りを楽しんでいる、彼の男らしからぬ一面だ、最も今は女主人レム・フラン・ローズであるからそれ程違和感はない。 彼等が旅立つ前に、レムはその胸元に赤い薔薇を挿して回っていた、これは山賊の住まう道を進む為の通行証代わりでもあってあの道を通る時は決まってそうしている、山賊の頭領が間違えて襲わない様にする為のちょっとした御守りみたいなもの、それを見れば山賊は無闇に襲わないからである。 以前、山賊と対峙した際ルリアンは野に咲く野薔薇を胸に挿していた、交渉の際山賊の頭領と交わした約束が『この赤い薔薇が通る時は僕の代理人と同じです、間違えて襲わない様にお願いします』それであり自分達と貴方方は友好な立場にある事を決めた決め手の1つだ。 それを見た時は彼等を抑止すると頭領が言った、頭領の言葉は絶対、それ以降レムを介した行商人は襲われる事が無くなった、ただ山賊間でも縄張り争いはある、他の山賊を懸念して行商人一行にはゴート騎士団の精鋭が護衛についている。ルーメラーの城で護衛騎士と合流すると一行は騎士団領の領地の最先端にあるルナークの砦を通り抜け目的地へと進む。 旅の安全を危惧しながらレムは手に取った薔薇の棘を取り除き束ねられた髪に挿してテラスに戻った。 「メイリン、お茶をお願い」 「承知致しました」 レムに声をかけられると早速他の使用人にお茶の用意を促しメイリンはレムの傍に控える、不意にレムが口を開いた。 「ねぇ…メイリン」 「どうかなさいましたか?」 「私はちゃんと演じているのかな?」 「女性を…ですか?」 「うん、最近ねふと思うの…私は上手に女性と言うものを理解できてるのかな…って、貴女から見て私はどうなのかな?」
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