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「いや…驚いていると言う方が本音なんだが…ハッキリ言えるのは美し過ぎるぞルリアン…だな」
「ロディ…申し訳ないけどこの場ではレムと呼んでもらいたいの、どこで誰が聞いてるかわからないし事実私は今はローズガーデン邸宅の女主人だから…違和感はあるでしょうがそこはお願い」
「あ…あぁ、そうだったな…すまないレム」
その顔は見るからに美しい姿を前にして少し動揺していた、その証拠に顔が少し赤くて目線も泳いでいるし何処かモジモジと落ち着かない素ぶりだ
「ロディ…目の前にしてるのは従兄弟ですよ、それではまるで恋人と対面してるみたいに見えてしまいます、少しは落ち着いて下さい」
「わ、解っている…その様な恥ずかしい事を言うな、レム」
慌てて取り繕う様に笑みが零れるが、何の要件で重要なポストに居る筈の従兄弟、ロディがここに来たのかがわからないので身体を寄せ身長の高いロディの顔を下から見上げる様に見つめ理由を問う
「所で…突然の訪問なんて、叔父様が良く許可して下さいましたね?」
「え、あぁ…それは…」
更に距離が縮まり間近で見上げられた挙句、仄かに香る薔薇の香りが更にロディを動揺させた。
「まぁいいわ…ロディも一緒にお茶などどう?」
「あ、うむ…そうさせてもらう」
すると、今度は動揺するロディの手を自ら握り室内へ先導する様に引く…そのあまりに柔らかい手の感触はロディを余計に照れさせたが当のレムはそんな事を考えもせずに何年かぶりの従兄弟との再会を喜んでグイグイとその握った手を引いて席まで先導して座らせた。
☆
温められたティーカップに紅茶が注がれる、ロディはまだ緊張した面持ちで姿勢も崩さずに椅子へ座り注がれる紅茶を目で追って居る、かなり目線を合わせるのが恥ずかしいのかレムが「こっちに向いて」と言うまで終始直立不動だった。
「あの日以来ですね…ロディと会うの」
「あ、ああ…何かと前線は忙しくてな、折角お前を見つけたと言うのに中々会いに来れなかった、ランスロットが入れ替わりで砦に入ったので俺は父上の所によりお前の所在を確認してここに来たんだ」
「そうだったのね…確かに叔父様は不要な接触は禁止して居たけども流石に従兄弟同士の再会までは禁じて居なかったわね」
レムが伸びた前髪をかき上げて紅茶を口にする、その仕草にドキリとしたロディも気分を落ち着かせようと紅茶を口に運ぶ。
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