episode 1 ローズガーデン…薔薇の庭園に住む美しき主人

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「それにしても…先ず持ってその色気は犯罪だぞ、レム…」 「失礼ね…ここまでなるのに5年かかって居るのよ…ロディが意識し過ぎ」 「仕方ないだろ、見れば見るほど女にしか見えないし俺はまだ独り身だぞ…女性に対しての免疫なんてあるわけないだろ?」 「ロディから見たら私は女の子にしか見えないの?」 「ああ…しかも美人過ぎる、不躾だか本当にそう思わせるだけの魅力をお前から感じずには居られないんだから動揺もするさ」 「ありがたい事ね…ロディがそう思うと言う事は私がそれだけ女性を演じれてる証拠にもなる」 正直、ロディはレムから溢れ出す魅力に解っていてもつい惹かれてしまう、彼が従兄弟でなく女性なら迷わず妃として彼を迎えるだろう事は一目瞭然だ、ましてやこれまで男ばかりの騎士団を束ねて居て女性に縁がなかったのだから偽りとは言え目の前に美しい女性が居れば正気では居られない、ある種の目の保養であり焦がれてしまう部分も出るのは仕方がない。 漸く雰囲気にも慣れだした頃、話は昔話から今後の話へと変わりながらかなりの時間談義は繰り返されて居た。 「……にしても機を伺う為の女装とは、かなり思い切った事をしたものだな、レム」 「仕方ありません…王子のままでは人伝てに知れてしまいますから身を守る為の女装は止むを得ない事です」 「所で、サウス・ガーデンの様子はどうだ?何やら思わしくない噂が領内に拡がっているが、実の所はどうなんだ、レム?」 そう問われたレムは少し顔にかかった前髪を手でかき上げ軽く首を振りその拍子に揺れた髪から漂う薔薇のシャンプーの香りがロディの鼻腔を刺激する、その上で少し身を乗り出す様な仕草をしてから現場の話を語り出した。 「今、サウス・ガーデンでは現宰相とその息子の間が煙たい状態にあるわ…これはチャンスと私の親愛する隠密部隊を潜らせた所よ、恐らく私の見立てでは半年の内に何かが起きると思う」 真剣な表情から事の重大さを感じたロディが唾を飲み込み聞き耳を立てる。
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