episode 1 ローズガーデン…薔薇の庭園に住む美しき主人

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「すっかり堪能し過ぎてしまったな…しかし、お前がまさか女性パートを会得してるとは…正直驚いてしまったぞ!」 「私は中途半端が嫌いなだけです、女として生きる以上ダンスの女性パート取得は必須項目の1つではありませんか…従兄弟の貴方と踊るとは思いませんでしたが…やるべき事はやる!貴方も同じでしょ、ロディ?」 「それはその通りだ、そこは昔から変わらない」 「それでこそ私が敬愛する兄様ですよ」 レムは微笑みながらそうロディに伝える、ロディもニコリと微笑がえしをして馬車に乗り込もうと歩き始めふと足を止めて振り返り握手を求める様に手を差し出した。 その手を握り返した瞬間レムの手の甲にロディがキスをした、何事かと一瞬驚いたが冷静に考えればそれは極必然の行為である事に気付く、これは男性が女性に対し良くやる挨拶の一環、親愛を込めて行う事が多い、今のレムはルリアン王子ではなく女主レム・フラン・ローズ…彼が態々こんな事をしたのも訪ねて最初にレムが行った事が切っ掛け。 訪問の際に『どこで誰が聞いてるかわからないし事実私は今はローズガーデン邸宅の女主人だから…』 がその答えだ、性別を偽り続ける以上従兄弟としても彼に協力するのは当然と考えたロディが咄嗟に起こした行動だった。 「女性には常に感謝し敬愛し愛情を注ぐ事…母上に良く言われてたからな、今のお前の立場を鑑みたらこのくらいは手伝うのが従兄弟同士だろうと思う…お前と俺の親愛の証だ他意はない」 「良い殿方になられましたね…後はお相手を探して叔父叔母を安心させないといけませんよ、ロディ?」 「解っているさ、が、まだ俺には早い…婚儀も大事だがそれ以前に一人前の総督…後継者とならねばならぬ、婚儀はそれからでも遅くはなかろう?」 「叔父様はかなりのカリスマ性がありますから、ロディもこれから大変ですね…私もですが」 「晴れて戻れたらその時は共に祝おう、元より騎士団領とサウス・ガーデンは唯一無二の同盟国なのだ交流が再開すればまた賑わいもあるからな、お前とは何れ国を治める領主同士として会いたいものだ…だから、命を粗末にするなよ、ルリアン」 「ええ…解っています!ロディこそヘタレない様にしっかり国を支える基盤になって下さい」 「ああ…」
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