episode 2 西国へ

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自分でも容易く…と思うが悪戯に兵を動かして奪還を目指すには少し不安が残る、先ず持って今の自分では指揮は取れても攻め込まれては太刀打ちする武力は兼ね備えていない、かと言って叔父に頼むのは些か罪悪感を覚える、何よりも留守の合間に他の侵略の手が騎士団領に及ぶ様な事があれば叔父をサウス・ガーデン攻略に回した場合城の防備が手薄になり、ロディだけでは支えきれないだろう…彼は武力を持っていても知略に長けてるとは言い難い。 「まだ少し時間が必要かもしれませんね、早く子供達を苦痛から解放してあげたいのですが、事を荒げては足下を掬われかねませんから」 「複雑ですね…」 「…!!そうでした」 「レム様?何を?」 「1つ思い浮かびました、資料によれば孤児は約30名、売春をしようとしている二十歳以下の少女は数名よね?」 「はい…それがなにか?」 「簡単な事です、この邸宅の北側には空き地がありますよね、そこに孤児院を設立しましょう」 「孤児院…ですか?しかし…」 「大丈夫…私を誰だと思うの?この地域を見守る女主です、一声かければ人は集まってくれます、私はそうしてローズガーデンに居れるのですから…」 ナナキはふと思い出した、まだレムが10歳くらいの頃、彼女は当時首都ゴートで人を集めてノース・ヴィレッジ地域の地域整備や近辺に点在する集落の人々との交流として全集落に顔を出していた、住民ケアの先端を見せた彼女に魅せられナナキやロキ、ヌーラは彼女の懐の深さに感激して得意な隠密技術を活かした協力を自ら引き受けた、しかも彼女は様々な技術提供で故郷の集落を潤してもくれた。 ナナキにとっても他の2人にしてもレムの存在は神に等しい主人として印象付けられる。 「しかしレム様…具体的には…」 「寄付金を使いましょう…これまで様々な人が訪れては寄付金を納金して来た、何かの為にとそれを貯めていましたが使い道がやっと決まりました」 レムが自ら寄付を募った事はない、生活資金はサウス・ガーデンに居た頃に両親が自分の為に備蓄して来たお金と断っても叔父が提供してくれる余剰金で賄える、寄付金は使うまでもないものでどうしようかと考えあぐねて居た事。
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