episode 2 西国へ

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子供達の未来の為にと使う分には誰も反対しないしむしろそう願う人の方が居るだろう、ならば不幸にも孤児となってしまった子供達に使う事を躊躇う必要もない、とは言っても何も告げず勝手に使う訳にもいかないのでこの時、レムは有力者を集めた意見会を開く事を決めた。 「売春行為に及びそうな数名には館勤めをお願いして使用人で世話係が出来る者に孤児院の管理と子供達の躾をお願いしましょう、メイリン居る?」 「はい…側に控えてございます」 「私の意見、どう思う?」 「大変宜しいと思います、使用人の中には子育てを終えたご婦人も居りますから私から彼女達にその話を致しましょう、付け加えて申しますと売春行為に手を染めるしか道のない方々にも話を…子供好きな者も居るかも知れませんから」 「解っています!3人ともすっかり遅くなりましたがお勤め御苦労様です、貴方方が集めた情報は一字一句違える事なく叔父に報告致します、ルカインそちらの手はずは貴方に一任します」 「畏まりました」 「3名は暫くゆっくりとしてから里に帰るなり側にいるなりを決めて下さい、強制ではありませんし里に帰郷する事はその身の無事を伝える手立て、思うがままで良いのです…ただ、有力者の集い迄には帰投をお願いします、対象の子供達や少女達の救出作戦を決める上で貴方達も大切な役割を担うのですから…宜しいですか?」 『解って居ります、一時帰郷しまた帰投します』 3人は声を揃えてそう答える、レムはその後に報酬…給料を彼等に笑顔で手渡した、その金額に皆んな驚いたがレムが『頑張りに対する報酬をケチるほど私は懐が狭い人間ではありません』と伝えるとそれぞれに深々と会釈を返して翌日には故郷へ里帰りをした。 その日の内に有力者会合の日取りを10日後と定めたレムはルカインの指揮する部下達に騎士団領領内にある管轄区と集落にその旨を伝え回る様に託けして更にメイリンの話に手を挙げた数名のミセス達を広間に集い孤児院完成後の方針を話し合った。 そこに急遽飛び込んで来たのは西国シラン・ジアス共和国のウィンダミル卿訪問の知らせ、帰郷した行商人一行からの土産話としてその活躍を聞き知ったウィンダミル卿が面会したいと言うもの。
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