episode 2 西国へ

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「レム…来月初めに共和国の仲介に行くらしいですね?」 「はい、叔母様…ウィンダミル卿の立ってのお願いですから反故にするわけにも行きません…しかし」 「しかし?…どうしましたか?」 「私などの意見が参考になるのでしょうか…私はまだ国を束ねた経験は皆無、意味がありましょうか」 それは切実な事であった、国同士の仲を取り持つ役目に於いては両者の言い分や主張を理解してより良い解決策を提示しないとならない、情勢も解らない状態で安易な事も言えない不安が募る。 「弱気にならない!お兄様はどんな時でも親身になって民を思っていたわ、貴女が子供なら大丈夫、常にお兄様は見ていますよ」 「お父様が…そうですね!生前お父様はやらずに後悔するならやって後悔しろ!と良く仰っていました確かに最初から諦めたらそこで終わりですしそれは私の中で『愚』ですし」 「そうよ…あ!話は変わるのだけれど今後サウス・ガーデンを奪還した後の事は考えてるの、レム?」 「多少は…今の段階で言える事は騎士団領との統一国家です、今回の争いを鑑みますとサウス・ガーデンにも優秀な守備隊が必要と考えます、取り返した後は現宰相とその息子の追放…いや、死罪を与える必要もあるかと思います、人の命を奪うのは元来私の主義ではありませんけどあの2人には死罪に値するだけの罪があると思われます」 「貴女の言う様に悪いとは言え無闇に命を奪うのは私も好みませんが彼らの場合、それも覚悟の上で起こした事態でしょうからむしろ死罪を望むかも知れませんね、その時は躊躇う事こそ厳禁です彼等の誇りを傷付けない為にもしっかりした裁きを与えて然るべき処置をなさい…これは国を束ねる者の心構えです忘れない様にしなさい…ルリアン」 「はい…叔母様」 最後にアイリスがレムの頭を優しく撫でた、まるで父親に撫でられている様な感覚にレムはホッとする…それからお茶を口にして懐かしい再会に喜びレムの事を宜しくと口添えしてからローズガーデンを後にした。 ☆
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