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「全く貴方と言う人は…今回は目をつぶりますけど、取り敢えず広間でお待ち下さい!」
「わ、解った…」
ロディは自分の失態を悔いる様に頭を下げると急ぎ支度部屋から広間に移動した、その寂しげな後ろ姿を見送るとメイリンと2人、含み笑いをしながら準備を整え広間に入った。
既に落ち着きを取り戻したロディは侍女見習いの練習台として接待を受けて顔が緩んでいた、その侍女見習いの美しさに思わず本能が表面化したのだが、これを見たレムが何故かイラっとしたのは自分でも不思議でロディの正面に座るとその緩んだ顔に鋭い眼光を一瞬だけ向けている自分が可笑しく思える。
ロディはその一瞬に姿勢を正してレムの様子を伺う。
「それにしてもなんであの様に高揚していたのですか、尋常ならざるものを感じましたけど」
「いやはや…それよりもお前のあの動揺っぷりには流石に肝が冷えたぞ…それでアレは父から勅命でお前の共和国訪問を護衛しろと言われてな…いち早くお前に伝えようと早馬を飛ばし参上したわけなんだが…いや、本当にすまなかった」
「もう過ぎた事だから良いですが…叔父上がロディにその役目を?」
「ああ…父上が仰られるには広い世界を見聞する良い機会だからレムを護衛しろとな」
「それは心強いですが…貴方の配下である部隊をつれるとなると行列になりませんか?」
「いやいや、実際俺が直接指揮できるのは20名前後だ、後は父上の許しがない限り動かす事は出来ない…これならば差して問題なかろう?」
「意外ですね…」
「そうか?しかし侮るなかれ直属の騎士はかなり手強い、100や200位の敵ならば殲滅せしめる事も出来る、素晴らしいではないか?」
「ロディ…私は別に戦争を仕掛ける為に行くわけではないの、いざこざの原因を究明しより良い案をウィンダミル卿にお話に行くだけです、解っていますか、ロディ?」
「勿論、先程の話は万が一の場合、騎士団領の民であるお前を守らねばならない…これは騎士団領規則として書かれる正式な対応だ、俺とて人の命を無下に奪う事などせん!」
「なら良いですが…それで本題ですが…」
レムは共和国訪問の際にやる事や巡る場所、ウィンダミル卿が用意している会合施設などの話を次々とロディに話す。
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