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「にしても隠密とは…それでサウス・ガーデンの現状を把握してきたのか?」
「そうよ…志願して騎士になろうとする若者はルカインの指揮下で約200名程しか居ない状況でまだまだモノにはなって居ません、これでは幾ら策を労しても勝機は薄い、ならばと私を慕い側要員として志願してきたククル族を徴用して隠密部隊としてサウス・ガーデンの様子を伺わせてきました」
「ククル族と言えば隠密行動を得意とする少数民族じゃないか…良く彼等の集落を見つけたな?」
「見つけたのではなく彼等に招待されて伺ったのです、しかしそこは文明が止まっていて少し生活の知恵を彼等に教えただけでした…彼等はそれを物凄く喜び、以来の付き合いです」
「お前の社交性は本当に敬服するよ、俺には出来ない事をやってのけるあたり母上が話してくれた様に天才肌なのかも知れないな」
改めてレムの凄さを肌身に感じたロディはつくづく惜しいと思う、従兄弟でなければ…同性でなければ…この様な手腕を見せつけるレムを求愛して妃にと迎えている。
だが、ふとナナキの言葉を思い返したロディはあぁ!と何かを感じてそれをレムに話し始めた。
「未来の話をしよう…今後、サウス・ガーデンを取り戻した先にお前は何を見る?」
「私が…ですか?」
「あぁ!さっきナナキが言っていたが、従兄弟とは夫婦の様な物だとしたら俺とお前で騎士団領、サウス・ガーデンを統治しないか?」
「共同統治…ですか?」
「ああ、気心知れた従兄弟同士…面白いと思うんだが?」
「その件ならもう決めています、国を取り返した際はその全権を騎士団領に移譲します、私は陰ながら叔父様や貴方を支えつつ未来を担う子ども達の育成をしたく思っています、その為の孤児院リトルガーデン設立ですから」
「表舞台には出ないと?」
「叔父様や叔母様が健在のうちはそう致しますが、貴方に世代が受け継がれたら…その時は苦手な内政を手伝いますよ」
随分と先の長い話だ、でも今はそれよりも当面の進行が優先、レムはそれ以上踏み込んだ話をする事はなくロディにしては少し消化不良の終焉となった、期日は1週間後、ロディは最終打ち合わせをする為に帰投しレムは侍女見習いが用意した紅茶を口にしながら過ごした。
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