episode 2 西国へ

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そしていよいよ、当日の朝を迎えたのである。 ☆ 白銀色に統一された騎馬騎士が並ぶ、指揮をとるロディは緊張してるのか少し戸惑いながらの先頭を務める、今日の格好は正式な訪問と言うだけに黄金のラインと黒の生地を基調とした本格仕様の軽装鎧で背中にはシュナイダー家の紋章を刻んだマントが風で揺れていた、それにいつもの様な笑顔はなく精悍にして鋭い眼光が騎士としてのロディと普段着のロディのギャップを感じさせ思わずレムも格好良いと思う様な姿だ。 勿論、レムも負けてはいない…紅白で彩られた正装に薔薇の刺繍がワンポイントで縫い込まれている、幾つかの宝石をあしらったティアラはまさに気高く荘厳な物だ、搭乗する馬にも衣装と同じ様な蔵が乗せられ勿論薔薇の刺繍が入っていた。 「メイリン、ルカイン…留守を宜しくお願いしますね?」 「万事我々にお任せ下さい…本日の来客には代理としてルカイン様が立会いますので抜かりはございません、レム様の方も万事抜かりなき様」 「解っているわ…必ず平和的に解決してきます、それではロディ隊長、参りましょう」 「御意…」 レムとナナキ、ロキ、ヌーラを真ん中に白銀の騎兵が進み始める、レムの両サイドをロディとトーラスが並走し一行は西側玄関口ラピズの砦から西国のシラン・ジアス共和国を目指して進む手筈になっていた、見送るメイリンとルカインは深々と頭を下げ他の使用人や侍女もそれに習い頭を下げた。 ラピズの砦はその外周を樹海と呼ばれる森に囲まれた場所にある、その昔はこの樹海を迷いの森と呼んでいたが近年道が整備され以前よりも西側諸国に睨みを利かせたり交流し易くなった、この案はレムの叔母アイリスの発案で述べ1万人以上の整備士が導入された記録が残されている。 迷いの森を迷わず開拓する為に様々知恵が絞られ、2年の歳月を要して西国の玄関口ヨルド村へ続く通路の安全が確保された。 この道を抜けてヨルド村迄の行程が1日、宿泊して更に1日掛けると西国のシラン・ジアス共和国最初の街、シラン国の玄関ムヨルドの街に達する、会合施設が両国の中間で国境の海洋都市ラ・ムゥと言う事からムヨルドから更に半日かけてそこへ全員が到着するのは三日目と言う計算になる。
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