episode 3 シラン・ジアス共和国

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早朝、ロディ率いる行軍隊は衣装を更に軽装化して隊列を組んでいる、騎士団領内は騎士としての正装である事が条件付けされていてラピズは騎士団領最東端に位置する為、そこまではゴート騎士としての威厳を保ちかなりの装備でいたが、ここから先はゴート騎士団としては基本戦争に赴く訳ではないので可能な限り身軽にすると同時に重厚な鎧などはラピズの砦に預けて行く。 ロディも先程とは違い『法衣』と言う騎士団領と関係の深い聖エトラムル大聖堂で行われる聖杯の式典と言う儀式で神の力を聖杯に降臨させたとされる聖水を衣装に振り掛け大司祭が祈りを捧げた衣装を身に纏っている、その他追随する騎士の衣装も同じく祈りを捧げられたものを纏っていた、流石に法衣と言うだけに衣装の胸元には十字の形をした刺繍が刻まれている。 隊列を組みロディの号令がかかると一行はゆっくりと進み始めレム達もそれに合わせて進む、過ぎ去って行く隊列をラピズの砦に待機する兵士達は軍旗やら鞘から抜いた刀を天に翳しながら見送り、部隊を指揮するシーアとレムの世話役を務めたイリスは門の外で頭を下げて見送っていた。 「しかし勇壮な物ですね…皆が法衣に身を包んで行業とは、流石はゴート騎士団の威厳と言う事ですか…ロディ?」 「威厳ではない、これはゴート騎士団の正式な訪問時に於ける最低限のルールとしてやっている、お前も言ったろう?これは戦争ではないと…」 「もし戦争なら先程までの鎧に身を固めて行業するのですか?」 「ああ…良く言う外交がある場合はこちら側の衣装を徴用するのがゴート騎士団の習わしだ、父上の外交時もこちら側の衣装で玄関口の砦を出る際に着替えるんだ、面倒だか鉄の塊が訪問してきたら気分の良いものでもないだろう?」 「まぁ確かに…それでは威圧感を与えるだけですから…良い心掛けかと思いますよ」 レムはニコリと笑みを見せると思わずロディの顔も綻んだ。
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