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笑みを浮かべながら彼女に水筒を手渡すと彼女は一旦レムの後ろに控える騎兵とロディに目をやったが騎兵は兎も角、ロディは頷くので差し出された水を慌てて口に運んだ。
「やはり…」
「レム、どう言う事なんだ?」
「サウス・ガーデン紛争の後、国を離れた人々は彼方此方に四散してしまい行方も知れなくなりましたこの辺りにもサウス・ガーデンは手を回して集落に様々な支援をしていたのですが…三日間紛争以降それらへの支援が途絶えてしまったのです」
「サウス・ガーデンは…滅びてしまったのですか?」
ある程度水を貰い元気を取り戻した女性がレムを凝視しながらそう語る…ロディや部下は返答に困ったがレムは毅然と語り始める
「サウス・ガーデンは現在、宰相補佐官の裏切りにより乗っ取られて居ます、それにより集落を訪問する行商人の数が極端に減ってしまい貴方方集落に住まう方々への支援が滞ってしまいました」
「そんな…それでは支援が極端に減ったのはそのためなのですか?」
「はい…わたくしはそれを正す為に行動して居ます…現宰相の采配では更に悪化するばかり貴女方の様な集落の民には命の危険が及ばないとも限りません」
「そんな…それでは私達はどうすれば…」
レムは少し考えるとロディの方に向いた、ロディもその行動に敏感に反応すると彼女に聞いた。
「1つ聞いておきたいのだが…今、貴女の集落に住まう住民はどれ程いる?」
「この方は…?」
「大丈夫です、彼は騎士団領領主ロイ・シュナイダー総督のご子息でわたくしとは従兄妹の間柄、ロディ・シュナイダー王子です」
「あっ!…先程は申し訳ありません、あまりに朦朧として居て返答致しませんでした」
「それはもう良い…それより貴女達の栄養状態が気になる、人数を教えてくれないか?」
「はい…わたくしを含め述べ12人程度…この様な状況ですから大人は子供を生かす為に身を粉にしております」
「ロディ…集落を訪れてみても良いですか?」
「しかし、時間が…いや、こんな状況をお前が座して待つわけもないな、解ったヨルドには早馬を送り到着が遅れる事を伝えよう…同行するのは…」
真っ先に自分を選ぶロディ…彼もまた現状把握はしたいと願う1人だ何もなく憶測を立てるのは納得出来ない性格でレムもそれは十分理解して居た。
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