episode 3 シラン・ジアス共和国

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☆ レムとナナキがその知識を活かして食事を振る舞う少ない材料で十分な栄養を摂るのは難しいが今はそれより大人達に振る舞いたい思いが強くその作業にも力が入っていた。 ロディや追従する兵士は父親を知らない子供達に様々な遊具を絞り出せるだけ絞り出して作り、中には木の棒を劔に見立てて騎士を相手に剣技を競う男の子の姿もある、ヌーラは口に合わないと言う要望を買って森にある様々な木の実や草類、更には唯一見つけた果物を手にして「これならくえるぞ!」と子供達に食べ方を教えている、女性陣には手にした木の実や草類をどの様にして食料にするかを伝え、やった事のない女性陣はその調理法に目を丸くしている。 更には騎士のバッツが薬草に通じていた為、周囲に生える草から薬草になる様な物を集めてその作り方を女性陣や興味を持つ子供に手解きしていた。 驚く事に周辺の草類はその殆どか薬として使える物が多く口に合わないと言うのは薬草の持つ独特の苦味がそれに当たっている事に気付いた、何より驚いたのはキュルレの葉が自生している事だ、キュルレは万能薬として重宝される希少種で使い方も乾燥させてから煎じると言う単純な物。 「レム様…このキュルレは彼等の収入源になるのではありませんか?」 「そうなのですか?」 「ええ…キュルレは古来より万能薬として重宝され上物は高値で取引されます、ここにはその上物が大量にありこれは多年草と言って一年中季節問わず増える代物、他にも傷薬の素になるホオバオの木や食あたりなどに効果の出るウングリの実まであります…ホオバオやウングリも木の葉や木の実、しかも原始的な方法で使えますからこれは収穫です」 「つまり、バッツはこの集落に工場の様な物を設けて薬師を育てたら…と言われるのですか?」 「はい…繊細な作業はやはり女性の方が長けていますから宜しいかと」 「なるほど…しかし、それまで彼女や子供達を何処で賄いますか、私は単なる館の主人に過ぎません、そうだからと安易に話す訳にもいかないのですよ、でも、それは妙案です、先を見据えて次期当主であるロディと話をしてみましょう…この仕事が無事に終えたらですけど」
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