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するとレムはロディの顔を見返して含み笑いをするとその問いに答えた。
「嘘も方便よ、ロディ…あんな小さい子に本当の事を伝えたら余計に変な目をされてしまいます、子供は純粋な存在、その目で見たままの事を言うものです、ましてや今…私達は正装、これを見た子供のしかも女の子は婚礼衣装と勘違いしてもしかたありません、ですから私は彼女の夢を壊さない様にあの様な言い回しをしたのですよ?」
「そ、そう言う事…なのか?」
「当たり前です、それにリースにも相槌したでしょう、見てませんでしたか?」
「確かに…しかし確かにこれではまるで夫婦だな…俺も考えなしだったすまん」
「別に気にしないで良いわよ、夫婦ごっこもたまには悪くないし、将来の王妃様に対する練習にもなるんじゃないですか?」
「王妃か…実際の所、その様な人物に巡り会えるのか…まだ自信はないな」
「今は良いのではありませんか…まだやる事は山程貴方にはあるのですから」
そう言って手にした水を口に運ぶレム、しかもそれはロディが口にした水筒、従兄弟だけにその辺りに遠慮はないのだが、レムを女と意識してしまう自分がそこにいる現実がロディにはやるせなく思ってしまう…本当の所はどうなんだろう…ロディはふとそんな事を思いレムの耳元に小声で口にした。
「レム…今のお前はどうなのだ、性別を偽り女として生活する現実…後悔とかしないのか?」
「わかりません、これは対人的には良い事だと思います、敵を欺くには好都合…ですが身内対しては複雑です叔父様風に言えば『偽りは罪だ!』と言われてもしかたありませんし貴方には変な誤解を招いているかも知れませんね…」
淡々と語るレムを静かに見つめるロディ、確かにこれは複雑で仕方がない、容姿端麗が故に姫とも思ってしまうし従兄弟の王子でもあると考えてしまう、でも実際にレムのこれまでで男性を全く感じさせない幾多の行動は脱帽してしまうほど女性にしか見えないのも事実。
「誤解と言うよりは尊敬してしまうよ、ともすればレムは姫に生まれても違和感はないだろう…また、もしそうなら従兄弟とは言え俺はお前を娶り妻としていたと思う」
「しかしそれでは国の存続は難しくなったと思いますよ」
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