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凡そ3時間半の道のりを進んだ一行の眼前に開けた場所が確認出来るとヌーラが一足先にそこへ行き安全の確認をしてから後続の5人に手で大きな丸のサインを示した。
「ポプリ君…ありがとう、日が落ちる前にはヨルドに着きそうです、順当ならトーラス達の一行も近くまで来ているかも知れません」
「済まない…何のお礼も出来ないが心から感謝しているよ、ポプリ」
「何の!久しぶりにかーちゃん達の笑顔が観れたんだ、このくらい当たり前だよ」
2人はポプリの頭を撫でて戻る彼を手を振って見送った、何時の間にかナナキが木に登り物見をしている姿が目に映る、周囲360度を見渡していると何かに気付いたのか素早く木から飛び降りて来てレムに伝えた。
「レム様1キロ程手前にトーラス様の行軍が有ります、ここを下れば下の麓で合流すると思われます、先を急ぎましょう?」
「そうね…ロディ行きましょう」
「ああ」
6人は真っ直ぐ降る坂道をゆっくりと降りる、途中レムが歩き難そうな素振りを見せるとすかさずロディが振り向き尋ねた。
「レム、来い!」
「はい?」
レムが差し出されたロディの手を取るとふわりと引き寄せられ更にはお姫様抱っこの様な形でロディの両腕に収まる。
「なっ!…ロディ!?」
「ん?」
「これは…チョット…」
「恥ずかしがるな!この先…ほら、あの辺りは少しぬかるんでいる衣装をそれ以上汚してしまっては対面が立つまい、今は素直にそうしてろ…」
「……は、はい」
18歳な屈強な男子が14歳の少女を持ち上げるのは容易だ、実際レムの身体はふわりと上がりストンと彼の腕に収まった、劔を振り回す程の男だ筋力も並ではない、だからロディがレムを抱えるなんて事は朝飯前の事だった。
「………軽いな、お前?」
「それはそうでしょ、私はロディ見たく劔を振り回す筋力なんてありませんしこの体の重さは多分、女性の様に軽いんです、抱きかかえるのも造作もない事だと思いますよ、ロディには」
「それもそうか…まぁ、その、安心して身を任せろ、レム」
「はぁい…そうします」
結局ぬかるみが終わり地面が乾いている所までお姫様抱っこのままロディの腕に抱かれ…改めて彼が屈強な騎士なんだという事をレムは再認識した。
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