episode 3 シラン・ジアス共和国

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「トーラス…どう?」 「レム様がそこまで自信たっぷりであるならこの件はお任せします」 「ナナキ…明日の早朝、一足先にラ・ムゥへ三人で向かって、我々が到着する前に話しをつけて来てもらえますか?」 「勿論です!早速ロキとヌーラに話し陽が昇る前にラ・ムゥに向かいます…では」 ナナキは会釈をするとスーッと三人の前から姿を消した、これにはトーラスも驚きロディは相変わらずと笑みをこぼす。 更にはレムが加わり話が続く、今度はレム自身の行動範囲の検証だ、前以て三人一組で警護をする事は決まっているが具体的にどの様にするかは決めていない…国境の港町ラ・ムゥでの行動は特に念入りの打ち合わせが成された。 ロディが先刻の使者訪問時に彼からもらった簡易的な地図をテーブルに開きレムの訪問先を丸で囲み始める、訪問するのは全部で5箇所…ラカン鉱山に始まりラ・ムゥの港ハイル、寺院や教会、国境、そして会合施設アクアパレスだ、それ以外に内政関係の資料をそれぞれに提出した物で見比べ、大体これで提案を話す事になる。 「会議にはウィンダミル卿とシラン国代表のラミー・パレス、ジアス国代表のムスダン・スグリが参加するレム、お前はこの三人を相手に談義するが、大丈夫か?」 「さぁ…でも、私は思った事を正直に話すつもりでいます、ウィンダミル卿の目的もそこではないかと思うんです、何が両国の関係を冷ましているのか…それを確認した上でより良い話しをします」 「しかし、噂では両者とも癖のあるお方と聞いています、レム様だけで平気なのか心配になりますね?」 「ですから三人に命じたのですよ、トーラス…アクアパレスの警備をゴート騎士団がするとなれば流石に手は出してこないでしょう明らかな力の差を前に劔を合わせるなどそんな無謀な事はしないと思いますよ」 ゴート騎士団の話は全国区で知れ渡っている、その強さは並みの騎士では歯が立たない程質実剛健だ、それだけの鍛錬を積み重ねて来た事が周辺には『無敵のゴート騎士団』と言う異名を持たせている。 この様な纏まった部隊が街に入ればそれだけでも威圧感を与え、余程無謀な人間でなければ手を出す事はない。
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