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正に一騎当千の力を秘めるのがゴート騎士団である
「そうだ!」
「なんだ?レム?」
「先にプレッシャーを掛けてみましょうか?」
「プレッシャーですか?」
「そう…ゴート騎士団の異名は誰でも知っている話でしょう、ならば試しにムヨルド入国の際に隊列を正し行軍してみるのも面白いのでは?」
「成る程、陣形を正しそのままムヨルドに入国する…当然、そんな行軍を見たら街人には少し申し訳ないがあらぬ野心を抱く連中には牽制になる…か?」
「そう、もし野心家がいるとしたら先に威嚇してしまえば簡単に事を荒げない…明日は衣装に劔と盾を装着して向かいましょう…」
「それは面白い事になりそうですね…レム様中々の妙案ですよ」
通常、外交時にその様な事はしない、外交はあくまで話し合う為の物、そんな中に劔を腰に挿し盾を装備などしていたらかなりの威嚇となる、しかし、相手の出方が解らないのなら先ずこちらから牽制を掛けておくのも手、レムは未知の領域を進む為にどうするかを考えた末その様な提案を出した。
「では、明日…その様にしてムヨルドにむかうとしよう、トーラスも異議はないな?」
「はい…しかし姫様、随分と突飛な事をお考えなさいますな…流石にトーラスも参りました」
この機転、采配を考えるにトーラスはこの様な策士がゴート騎士団に居れば更なる向上に繋がるとこの時初めて感じた、それまでは何処か女性と戦う男の間は縁遠い気がしていた、しかし奇想天外な事を言うこのローズガーデンの女主を見ていると女性とは侮り難い存在であると思えるのだ。
思わずこんな事をトーラスは口から漏らした。
「一層の事、レム様とロディ王子が夫婦になれば騎士団領の未来は安泰になりますのに…」
それを聞いた2人が照れ臭そうに赤くなりトーラスを見る
「従兄妹で夫婦など、騎士団領の危機です!」
「そうだぞトーラス、俺とレムは従兄妹…よもや忘れてまいな?」
「解っております、ですが従兄妹と言うのは見方を変えれば夫婦の様な物ではありませんか、これ程時を共にすれば…私はそう思いますが?」
ひどいデジャブだ…以前これと同じ事をナナキからも言われた、従兄妹とはそれ程近しい者かとロディもレムも呆れる、だが、トーラスの顔は寸分疑い無くその様な表情をしていた。
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