episode 3 シラン・ジアス共和国

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部隊が出発する少し前、まだ陽も上がらない明け方にナナキ、ロキ、ヌーラは一足先にヨルドを後にした、レムから勅命を受け三人は意気揚々と馬を進める。 それから遅れる事陽が昇り明るくなる頃に部隊は寄宿舎の外に集合、昨夜急遽決まった方針を皆に伝えその様に準備をしてから寄宿舎を後にする前にお題の金10枚を主人に手渡すと大層喜んで会釈を返した、金10枚などロディの懐で済む代金だか、彼等にとってそれは大金に等しい物なのだと実感する、領主と町民ではこれ程の落差がある事にレムは少し訝しげな顔をした。 隊列を整えたゴート騎士団の姿を村民は様々な角度で見聞する、ある者は勇壮にして荘厳と言い、またある者は無敵のゴート騎士団と揶揄する、それでも彼等は悪態を吐く事はなかった。 ナナキ、ロキ、ヌーラの三人が抜けレムの周囲はロディ、トーラス、バッツ、ニコルが固めて動いていた、最初はその予定では無かったが、万が一にもサイドから狙われてはレムを守りきる自信はないので三人の抜けた穴をバッツとニコルが埋めてレムの護衛に当たったのである。 「レム様…お疲れではありませんか?」 世話好きのニコルがそう問うと反対側を固めるバッツが笑いながら言う 「ニコル、お前の世話好きには敬服するな…そう言う気質か?」 「何を言う!姫君を守らぬでゴート騎士が勤まらないじゃないか…レム様は我々の女神、世話を焼いてもバチは当たるまい?」 「それはそうだが…あまり無駄口を叩くとトーラス様に怒られてしまうぞ?」 「おっと…そうだな」 2人の会話を聞いていたレムが含み笑いを見せて語る 「女神など…私にその様な大役勤まりませぬ…私は薔薇を愛でる事が大好きな女主ですよ、ニコル気遣いは良いですが…あまりなされますと淑女から敬遠されてしまいますよ?」 「それは困ります、母上に孫の顔を見せると約束している身、敬遠されては授かるものも授からないではありませんか…」 「なら。ほどほどの距離感をお勧め致します、何か用があれば私から伺います、今は集中して下さい」 「はは…肝に命じます」 「姫様にしてやられたな!ニコル」 「う…煩い!」 そんな会話を聞き、レムはまた笑みをこぼした。
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