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太陽が西に傾き始めた頃、一行は前方に見える関の付近まで進んでいた、しかし、関を守るべき門番はやる気なさそうに姿勢を崩し、検問もなんとも中途半端な様子、ロディはレムの所を離れ先頭に立ち、その様子に少し憤りを感じた。
「なんと情けない…共和国の今の一面か?」
ロディは吐き捨てる様に言うと大声を張り上げた
「我らウィンダミル卿の呼び出しを受けて参った騎士団領のゴート騎士団だ!この先はムヨルドか?」
ロディの声に慌ててその姿を捉えた門番が急に姿勢を正す、あからさまなゴート騎士団の衣装に少し驚愕したらしく近付く度にその緊張度は上昇した。
やがて門前に到達したゴート騎士団は2人の門番に睨みを利かせロディは再び彼等に問いただす
「この先はムヨルドか?」
門番2人は言葉なく何度も頷き門を開いた。
「む…ムヨルドの街はこれより先の少し山間になります!よ、よ、要件はウィンダミル卿より伺っているのでど、どうぞ…お通り下さい」
勇壮な隊列に2人は完全に強気を失った、ゴート騎士団の話は彼等にとって威圧感の何物でもなく、普段構えるはずの槍も今は真っ直ぐに立てて彼等の通過を見守っている、隊列は変えずそのまま関を通過した一行はその先に小さく見えるムヨルドの街を凝視しながら前進して行った。
隊列が通過した後、彼等は腰砕けの様な状態でその場に座り込み身体はその恐怖に震えていた、ゴート騎士団と言うのはそれだけの影響力を持っているのである。
近付くムヨルドの門にも衛兵らしき人物が立っていた、ロディは再度彼等に聞こえる大声で到着を伝える。
「我ら用あってウィンダミル卿に会いに来た、きいておるか?」
すると門の衛兵も頷くと直立不動の姿勢で何度も頷く
「ならば押し通るがよいか?」
確認の意味でロディが聞くと衛兵はまたも直立不動で繰り返し頷いた、騎士団は悠々と門を潜りムヨルドの街の中を行軍する、すると彼等に気付いた町民や警備している警備兵迄もが道を開けて両サイドに平伏す、見る限りは壮観だ。
「これ程迄の影響力があるなんて私は知らなかったのだけど…」
「ゴート騎士は1000年以上の歴史があります、ですから町民やその他騎士や剣士達果ては領主でさえこの行軍に恐れを成し勝手に平伏してしまうのです、こちらは望んでなくても…それだけゴート騎士は屈強な集団と言う事です」
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