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「そう…わかりました直ぐに行きます」
ガラス張りのテラスでアフタヌーン・ティーを庭に咲く薔薇を愛でながら楽しむレム様ことルリアン王子は使用人のメイリンが慌ただしく報せをよこした事に何かを感じていた。
この6年間、女性を学ぶ一方で隠密工作を行いサウス・ガーデンのこれまでの経緯を調べていたがルカインが少し息を切らして館に来た事で変わり始めた何かを敏感に感じ取っている。
注がれていた紅茶を飲み干して広間に移動したレムは早速ルカインをリビングチェアーに座らせると水を与えて落ち着かせた。
「それで…ルカイン何か掴んだの?」
「はい…不確かなものではありますが、サウス・ガーデンの様子がかなり変化して来ている様です、姫様が専門の隠密集団ククル族を徴用してから色々見え始めて来ました」
「彼等は報酬を与えればキチンと仕事をしてくれる良心的な一族です、諜報作業員としては欠かせない人々である事はルカインも知っていますね?」
「勿論です、彼等の活躍は先刻から承知しております…それでサウス・ガーデン何ですが少しきな臭い状況の様です、間者の報告では現宰相を務めるアレフと息子のイグリットの間に不穏な空気が流れているとの事」
「つまり、アレフとイグリットが啀み合いを始めていると言う事ね?」
「はい」
「成る程…面白い事になって来たみたいね…彼等をサウス・ガーデン内に潜入させて詳しく調べる指示を出しましょう…出来れば旅の行商に紛れ込ませて潜入させて鳥も使えると言う話だからそれを利用して探らせて下さい、報酬には餌代をプラスして渡してあげて」
「畏まりました」
ルカインは他に幾つかの資料をテーブルの上に並べて目を通す様にレムを促すと足早に広間を後にして次の手立てを講じる準備を始めた。
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