episode 1 ローズガーデン…薔薇の庭園に住む美しき主人

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潜入捜索と銘打つ諜報作戦はその日の夜には試行された、偶然にも訪れた行商人の一行がサウス・ガーデンに向かうらしく彼等が協力を申し出た事が切っ掛けでの敢行になる。 広間にはククル族の3人がレムとルカインの指示を入念に記憶しながら準備を整えた姿で控え行商人のリーダーである小太りの男性ナジフもその場所に顔を出していた。 「入国許可証は私が持っておりますから問題はないでしょう、入国したら協力者の所に滞在するので御三方をそこで放ちます、後の事は御三方で進めて頂き滞在する3週間の間は基本的に動けます、帰国時に再度行商の列に加わって頂けばこのローズガーデンまで送り届け解散としましょう」 「では諜報作戦をもう一度確認する、ナナキは集められた情報を精査、ロキとヌーラは宰相府近辺から北側周辺と南側周辺を手分けして情報収集してくれ…有事の際は速やかに諜報作戦を中止し領民に成りすまし時を稼いで貰いたい」 「くれぐれも無理な諜報はしないで安全第一で行って下さい、これは私からの命令です…今の私には全ての者が必要不可欠で貴方方も私の大事な部下です、くれぐれもむやみに命を棄てない様…再度申し付けます!ルカインはこの事をお城詰めのランスロットに報告して下さい」 「御意」 『承知しました…レム様、お言葉しっかり胸に焼き付けて置きます!』 かくして今までの諜報作戦の中で最大の作戦が決行された、翌日にはお城詰めのランスロットに報告が上がりその日の内に総督へと内容が打診された。 「無茶をせねば良いが…」 「レム様… ルリアン王子は頭の切れる方、自分にマイナスになる事には手を出しません、心配には及ばないでしょう」 そうロイの隣で助言する男は先の3日間紛争からルリアンを託され共に騎士団領に落ち延びたランスロット副隊長である、彼はルリアン救出を最後に近衛騎士隊を除隊し今はロイの側近としてルーメラー城に常務している。 除隊後の彼の地位は参謀長官、所謂ゴート騎士団の行動に対して策を与える立場だ、元々近衛騎士隊でも作戦を組み立てる側にいた為頭は切れる人材、ロイとも面識があり除隊を期に参謀長官の責務を彼から依頼された。
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