星に願いを

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星座好きの 父に 言われた 「流れ星に願いごとを三回唱えれば必ずかなうよ」 そのひと言 を 少女は忘れなかった。 父は震災で亡くなり 母ひとり少女ひとりの生活は寂しくもあったが 夜空に浮かぶ星々を眺め父から何度も教わった 星座の話を思い出しては、寂しさをまぎらわせてい るうちに 二人だけの生活にも慣れた頃 母が再婚し新しい父親が少女にできた。 夜空を眺めることから、現実の世界にて どこか違和感持ちながら 新たな父親を受け入れた 少女は 中学生になり 亡き父に聞いた星座の話に寂しさをまぎらわせるこ ともなくなり夜空を見上げなくなった そんな思春期を迎えた彼女は 「流れ星は願いごとをかなえてくれる」と言う 亡き父の言葉を実践したくなりました。 彼女は恋をしたのです。 星の好きな天文部の部長に。 三年生の彼は どことなく 木訥だった前の父に 似ているように感じた彼女は 夜空を久しぶりに眺めては流れ星を探しました。 そんなある夜 流れ星が 「部長と恋人になれますように」と三回願いごとを 彼女は唱えました。 そして 翌朝 願いごとはかないました。 彼からいきなり告白されて おつきあいがはじまりました。 彼女は亡き父に感謝しては 夢のような日々を過ごしていました。 ところが その夢は 悪夢だったのです。 彼は 女たらしの 浮気者で 天文部部長という肩書き は ただロマンチックで新入生を 口説き落とすため だけのものでした。 彼女と付き合いはじめて 一週間 彼は本性を現し 次のターゲットを物色はじめて それに意見をした彼女は 暴力を奮われました。 そして 次々と新入生を毒牙にかけるこのろくでなしに 別れを切り出した彼女は 「ばぁか。流れ星の願いごとは絶対なんだよ、別れられると思ってんのか」と 罵られ またもや 殴り飛ばされました。 彼女は付き合い出した まだ優しかったそのろくでなしに 「流れ星の願いごと」の話をしたため その言葉を 利用されてしまったのです。 彼女は絶望のなか 再び 夜空を見上げて 流れ星を探しました。 そうです。 ろくでなしと別れるために。
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