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第3章 絶景
樋野さんに薦められた本を借りてから館内をぶらぶら歩いていた。
どのコーナーも本の並びがいつも綺麗に整えられている。
作者名のあいうえお順、その作者の作品の中でのあいうえお順、と規則正しく陳列され、本たちも行儀よくそこに並んでいた。
規律があるにも関わらず、冊数や種類が多いためか並ぶと一層壮観であり、ひとつの自然の風景を見ている気さえしてくる。
美しい。
どの図書館でも棚が整理されていることは当たり前なことだろうけど、本当にそう思うのだ。
この表現は決して言い過ぎではない。
これは、自然と人工物が融合した新しい絶景だ。
これを見たいがために、特に用事がないとしても、しばしば館内を歩き回っている。
平日に図書館に来る人の数が少ないと言うのもあるけれど、それでも本の並びが乱れていたことは通い始めてから一度もない。
樋野さんがコツコツ整理してくれているからこその眺めなのである。
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