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第1章 本の虫
私が本の虫となって二ヶ月が過ぎた頃、通っていた図書館に新しい司書さんがやってきた。
愛想の良い穏やかな青年。
楽しそうに仕事をしているのが何より印象的だった。
特に意味はないけれど、胸元につけた『樋野』と書かれた名札を見て、真っ先に『樋口一葉』を思い浮かべたことを今でも覚えている。
そんな彼と話すようになったのは、私が「お薦めの本を教えてほしい」と言ったことがきっかけだ。
そこから、いつの間にか作品について語りあったり、次はどんな本を読みたいのか、という話をするようになっていた。
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