第1章

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これは、ウイルス研究所に勤めていた研究員の書いた《collapse_崩壊_》という本だ。一部無料で読めるから、ちょっと覗いてみた。 間違ってる…愚かな決断を俺達は、なすすべもなくただ受け入れるしかなかった。 ウイルス感染したら隔離される。初めて確認された時には第3エリアが封鎖された。当然の流れだ。ところが、そのウイルスは特に害無しと判断され、ウイルス認定はされているものの感染しても害無しと政府が正式発表した。 そして今、封鎖は解除され感染が確認された者も制限もなく普通に暮らしている。 ウイルス感染者は国民の80%を超えた。残りの20%弱の中に全く感染しない者が確認された。 《DK-5-dpjmgウイルス》 脳細胞に働きかけ、主に前頭前夜を支配する。このウイルスの特徴はマイナス感情に反応しその感情を持ってしまう事。ウイルスに感染している者同士が、ひとりのマイナス感情に同調し、そのマイナス感情を共有するのだ。 例えば、ウイルスに感染している者が、100人いたとする。その内のひとりが、誰かを恨んで嫌がらせをしたとしたら、感染している99人はその恨んでいるマイナスな思いを察知し同じ気持ちになる。そして、恨んでる人物に同じように嫌がらせをする。これが殺意なら… こんな恐ろしい事があっていいのか! 封鎖は解くべきではなかったんだ。
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