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私は布団からのそのそと出て、白い半襦袢と裾よけから着替えることなく障子を開けて部屋の外へ出た
蛇足であるが襦袢に身八つ口と振八つ口があったから私は女性であるのかもしれない、可能性であるのは私は夢が終わるまで鏡などで自分の姿を見ることはなく、また服を脱ぐことも無かったからである
それ故に私が女性であったのか、女性用の襦袢を着る奇異な男性であったのかは『私』には分からない
閑話休題。
部屋を出てすぐそこは縁側であり、私はガラス越しに外を見た
今日の天気がどんよりとした曇りであることを知った、別に気分が落ち込むことも無い
枯れそうな松一本しかない庭とも言えないような雑草だらけの庭から、奥の暗い色の湖を見た
それほど深くもないが、水の下には泥がたまっており、歩きづらい湖だ
その更に奥には森がある、まだ朝早いから白く霞掛かって見える、綺麗だ
私は一旦部屋に戻り、タンスから黒いパーカーを取り出し、前をぴっちりと止めた
ちらと散らかった布団を見るも、直そうとはせず腹をさすりながら玄関へと向かった
玄関には目つきの鋭い男がいた、しかしこれは『私』が思い返して見ての印象であるためそれほど宛にならないかもしれない、だがまあ男は居た
『私』が見るに、私と男は家族かそれに近しい関係に思えた
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