第三話

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「ナンパされてついてくような女だから、さ。昨日はハルヒコくんと、一晩一緒だったよ。……これで満足?」 「え……」  花木の言葉が上手く飲み込めず、直が瞬きを繰り返していると、花木はその横をすたすたと通り過ぎていった。ボタンが押され、扉が開く。  その腕を、つかもうと思えばつかめたはずだったが、直の身体はちっとも動かなかった。背後で扉が静かに閉まる。  狭い箱の中に一人残されたまま、直はしばらくその場に固まっていた。
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