15人が本棚に入れています
本棚に追加
それは星の世界の物語
むかし、むかし、まだ夜空の星に名前がなかったほど、大昔のことです。
たくさんの星のなかに、八人の兄弟星がいました。
一番上の大兄さん。二番兄さん。三番兄さん。四番兄さん……と続いて、一番末の星は、みんなから弟星とよばれていました。
兄弟は、とても、なかよしでした。
たまにはケンカもしましたが、すぐに、なかなおりします。
星たちは昼のあいだ、夜の宮殿で休んでいます。
夜の女神さまが、濃紺のカーテンを空にかけると、星たちの仕事の始まりです。まっくろな夜のカーテンを美しく、かがやかせることが、星の仕事です。
すると、きげんをよくした月の女神さまが、宮殿のおくから、あらわれます。夜に生きるケモノたちを、やさしく、てらしだしてくれます。
そのあと、月の女神さまのあとについて、星たちは、ひとばんじゅう、行進します。
月の女神さまのおともが、星たちの仕事でした。
八人の兄弟星も、毎日、自分のカンテラをピカピカにみがいて、夜空へとびだし、月の女神さまをおむかえします。
月明かりのなかで生きる、キツネやフクロウ、ネズミやガ、そのほかのたくさんの生きものを見るのが好きでした。
ある夜のこと。
最初のコメントを投稿しよう!