それは星の世界の物語

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それは星の世界の物語

むかし、むかし、まだ夜空の星に名前がなかったほど、大昔のことです。 たくさんの星のなかに、八人の兄弟星がいました。 一番上の大兄さん。二番兄さん。三番兄さん。四番兄さん……と続いて、一番末の星は、みんなから弟星とよばれていました。 兄弟は、とても、なかよしでした。 たまにはケンカもしましたが、すぐに、なかなおりします。 星たちは昼のあいだ、夜の宮殿で休んでいます。 夜の女神さまが、濃紺のカーテンを空にかけると、星たちの仕事の始まりです。まっくろな夜のカーテンを美しく、かがやかせることが、星の仕事です。 すると、きげんをよくした月の女神さまが、宮殿のおくから、あらわれます。夜に生きるケモノたちを、やさしく、てらしだしてくれます。 そのあと、月の女神さまのあとについて、星たちは、ひとばんじゅう、行進します。 月の女神さまのおともが、星たちの仕事でした。 八人の兄弟星も、毎日、自分のカンテラをピカピカにみがいて、夜空へとびだし、月の女神さまをおむかえします。 月明かりのなかで生きる、キツネやフクロウ、ネズミやガ、そのほかのたくさんの生きものを見るのが好きでした。 ある夜のこと。     
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