0人が本棚に入れています
本棚に追加
リープと口にすると10秒巻き戻すという変な力。
1日3回使える不思議な力だ。
あまりにも現実離れしてる。
それは理解してる。
僕は考えた。
この力は悪用するべきではない。
僕はこの力を使って彼女の返答を変更した。
1度はOKと言った。
でもやっぱり周りの視線が嫌だった。
それだけの話だ。
だけどそんなことよりも
「助けなくちゃ」
時にして数秒先。
一瞬の判断が命取りとなる。
左前方の交差点に猫。まだ青の信号だ。
助けられる。
僕は手を伸ばした。
猫は驚いて全力で逃げていく。
逃げられた・・・でもこれでいい。
あの猫は助かったのだ。
僕は安心しきっていた。
未来とは似たような結果に収束されるということを。
☆
意識はしっかりしてない。
血の流れも速い。早く止血を。誰か救急車を呼んで。
などと声が聞こえる。
あー、僕は轢かれたんだ。
それにしても凄いな。
体に力が一切はいらない。
腰から下の感覚がない。
まるで神経が切り離されたような感覚だ。
「白柳君」
涙目の彼女。
僕はこの時悟った。
なぜ僕はあの告白を断ったのだろう。
彼女はこんな僕に涙を目の前で流すほどに好きだったというのに。
それでも今伝えずにいられない。
僕はそう思って声を振り絞った。
「僕は・・・君のことが好きでした」
僕はこれが僕の最後の言葉かと思った。
だけど次目を覚ますと病院のベッドの中だった。
単純にいえば生きてる。
でも下半身の感覚は未だにない。
足も動かせない。腰も動かせない。
ははっ・・・これってあれじゃんか。
歩けない体になったってことか。
「猫助けた代償にしては高すぎ」
「そうよ、なんでこんな無茶をするの」
僕は声の主が誰かわかっていた。
彼女だ。
僕に涙を流し好きだと言ってくれた少女。
そうだ、僕はこの人に告白したんだ。
今更超恥ずかしい。
「なんで君が・・・」
「お見舞いに来ちゃダメなの?」
「ダメとは言わないけど」
僕はこの押しに弱い。
あの時は断れたけど告白した後だ。
断りずらい。
「にしても2日も寝込んでいたなんて驚きだよ」
2日も寝込んでいたのか。
時間の感覚も今はないけど彼女が言うのだから多分間違いない。
「僕が言うのもなんだけど僕に付き添わない方がいい。君もこんな風になっちゃうかもしれない」
「なんでそんな事言うの」
「なんでって現にこんな怪我を・・・」
最初のコメントを投稿しよう!