これは一つの物語

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リープと口にすると10秒巻き戻すという変な力。 1日3回使える不思議な力だ。 あまりにも現実離れしてる。 それは理解してる。 僕は考えた。 この力は悪用するべきではない。 僕はこの力を使って彼女の返答を変更した。 1度はOKと言った。 でもやっぱり周りの視線が嫌だった。 それだけの話だ。 だけどそんなことよりも 「助けなくちゃ」 時にして数秒先。 一瞬の判断が命取りとなる。 左前方の交差点に猫。まだ青の信号だ。 助けられる。 僕は手を伸ばした。 猫は驚いて全力で逃げていく。 逃げられた・・・でもこれでいい。 あの猫は助かったのだ。 僕は安心しきっていた。 未来とは似たような結果に収束されるということを。 ☆ 意識はしっかりしてない。 血の流れも速い。早く止血を。誰か救急車を呼んで。 などと声が聞こえる。 あー、僕は轢かれたんだ。 それにしても凄いな。 体に力が一切はいらない。 腰から下の感覚がない。 まるで神経が切り離されたような感覚だ。 「白柳君」 涙目の彼女。 僕はこの時悟った。 なぜ僕はあの告白を断ったのだろう。 彼女はこんな僕に涙を目の前で流すほどに好きだったというのに。 それでも今伝えずにいられない。 僕はそう思って声を振り絞った。 「僕は・・・君のことが好きでした」 僕はこれが僕の最後の言葉かと思った。 だけど次目を覚ますと病院のベッドの中だった。 単純にいえば生きてる。 でも下半身の感覚は未だにない。 足も動かせない。腰も動かせない。 ははっ・・・これってあれじゃんか。 歩けない体になったってことか。 「猫助けた代償にしては高すぎ」 「そうよ、なんでこんな無茶をするの」 僕は声の主が誰かわかっていた。 彼女だ。 僕に涙を流し好きだと言ってくれた少女。 そうだ、僕はこの人に告白したんだ。 今更超恥ずかしい。 「なんで君が・・・」 「お見舞いに来ちゃダメなの?」 「ダメとは言わないけど」 僕はこの押しに弱い。 あの時は断れたけど告白した後だ。 断りずらい。 「にしても2日も寝込んでいたなんて驚きだよ」 2日も寝込んでいたのか。 時間の感覚も今はないけど彼女が言うのだから多分間違いない。 「僕が言うのもなんだけど僕に付き添わない方がいい。君もこんな風になっちゃうかもしれない」 「なんでそんな事言うの」 「なんでって現にこんな怪我を・・・」
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