メガネにスーツは反則だよね

6/8
前へ
/8ページ
次へ
「本当に綺麗な人だね。」 席に着くなり彼が口を開いた。 「うち、ボトルキープしないといけないんですけど、テキトーに安いお酒選んじゃいますね。」 言葉を聞き流し水割りを作る。 「なんか、変な感じですね。」 「確かに、初対面でいきなりお店に来てもらうのは申し訳ない気がしちゃう。」 軽く笑うと彼も笑った。 笑顔があどけない人だ。 「ご結婚は?」 「まあ一応は。」 「なーんだ。独身だったらモーション掛けてたのに。」 「ハハ」 乾いた笑い声 「お子さんは?」 「いるよ、二人。」 「へぇ」 ここで話は途切れる。 しばらく沈黙の時が流れた。 「そうだ。呟きの...大丈夫だったの?」 「え...ああ、うん。」 「酷い客がいるもんだね。」 迫ったのは私だけどね。 「でも...嫌いじゃなかったし。」 「へえ...オヤジ好きか」 曖昧な笑顔で頷く。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加