愛欲の華

メガネにスーツは反則だよね

「その人、いつも来るの？」

「前はね。今は出禁」

だからママと顔を合わせたくないのだ。

太客を出禁にしてしまった私にとってこの店は針のムシロだ。

「だからここもう辞めようと思ってる。」

「ふーん。まぁ、君目当てで通うのも、キスしちゃうのもわからなくもないな。」

「え？」

「それくらい魅力的だってことだよ。」

LINEを交換してその日はそれで終わった。

私がお礼LINEを打つより先に彼の方が打ってきた。

[今日はありがと。本当にお綺麗な方でした。]

この短時間に何度綺麗と言われただろう。

なんの躊躇いもなく誉めあげる男に興味を覚えた私が悪いのか。

この時は嘲っていた。

痩せ細っている上に妻子持ちのうだつの上がらないヤツ。

総合的に評価しても圏外だ。